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タウリス島のイフィゲーニエ
Akira Ichikawa Collection No.1
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 作 市川 明 訳
新書判/106×173mm/352頁
並製本/本文特色印刷/ドイツ語原文付き/2017年
AD+D+DTP:松本久木
市川明によるドイツ語圏演劇翻訳シリーズ第1巻(新装版)。 偶数頁にドイツ語原文を底本に即した形式で掲載し、奇数頁に日本語新訳を同様の形で掲載することで韻文劇の醍醐味である韻文のリズムと発話のリズムを再現した。 作品鑑賞のみならず、日独語比較研究を試みる読者・研究者の便をも図る意欲作であり画期的な一書である。 >>Collection No.1『タウリス島のイフィゲーニエ』(旧版)ゲーテ作 >>Collection No.2『こわれがめ 喜劇』クライスト作 >>Collection No.3『賢者ナータン 五幕の劇詩』レッシング作 >>Collection No.4『アルトゥロ・ウイの興隆』ブレヒト作 _ 本書は私の個人訳によるドイツ語圏演劇翻訳シリーズの第1巻として2014年10月に刊行された。当初は研究書的な意味合いが強く、ゲーテがブレヒトをはじめとする20世紀演劇にどのような影響を及ぼしているのかを探るなかで生まれた。できるだけ多くの人にドイツ文学・演劇の良さ、面白さを知ってもらい、日本中にドイツ文学を広めたいという願いが出発点にあった。射程は二つあった。1.翻訳を上演と結びつけ、劇場でドイツ演劇を楽しんでもらう。2.読者層を広げ、ドイツ文学の愛好者を増やし、合わせて研究者を育てる。こうした目的を満たすために、シリーズは日本語とドイツ語(原文テクスト)を見開きで並べ、対訳形式にして読んでもらうという、新しい形式をとることになった。ドイツの作家が多くの時間と労力を費やし、作りあげた韻文テクストの多くが、日本では散文として出版されているという現状を打ち破るためにも、必ず行分けをして、テンポとキレのある翻訳に仕上げたいと常に願ってきた。そのため行番号も入れ、二言語を対照しながら読めるようになっている。 新しい試みのもとに刊行された第1巻は、ドイツ語学習者や研究者のみならず、演劇好きや海外文学に興味を持つ人など、さまざまな方面から大きな反響を得た。そうしてますます多くの人に手軽に読んでもらいたいという思いが強くなり、B5変型判という大きな判型で出された創刊号に対して、第2巻以降はペーパーバックとして出版することになった。第4巻まで刊行は順調に進み、[…]少しずつこのシリーズが知られるようになった。今ではドイツ演劇が日本語で手軽に読めるということで、ふつうの文庫本・新書本の感覚で多くの読者が戯曲を楽しんでくれている。読者層は確実に広がっており、当初の願いは実現されつつある。そのことから、第1巻も版型をそろえようということになり、本書の刊行に至った。 (市川明「改訂にあたって」より) _ 市川 明(いちかわ・あきら) 大阪大学名誉教授。1948年大阪府豊中市生まれ。大阪外国語大学外国語学研究科修士課程修了。1988年大阪外国語大学外国語学部助教授。1996年同大学教授。2007-2013年大阪大学文学研究科教授。専門はドイツ文学・演劇。ブレヒト、ハイナー・ミュラーを中心にドイツ現代演劇を研究。「ブレヒトと音楽」全4巻のうち『ブレヒト 詩とソング』『ブレヒト 音楽と舞台』『ブレヒト テクストと音楽──上演台本集』(いずれも花伝社)を既に刊行。近著に“Verfremdungen”(共著Rombach Verlag, 2013年)、『ワーグナーを旅する──革命と陶酔の彼方へ』(編著、松本工房、2013年)など。近訳に『デュレンマット戯曲集 第2巻、第3巻』(鳥影社、2013年、2015年)など。多くのドイツ演劇を翻訳し、関西で上演し続けている。 _ ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832) ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然科学者、政治家、法律家。ドイツを代表する文豪であり、小説、詩、戯曲など幅広い形式で重要な作品を残した。 ・ 1749年フランクフルトの裕福な家庭に生まれる。法律を学ぶが、ヘルダーとの出会いを契機に文学に目覚め、シュトゥルム・ウント・ドランクの代表的詩人として活躍。小説『若きヴェルテルの悩み』(1774)でヨーロッパ中に文名を馳せる。 1775年ワイマール公国に宮廷顧問として迎えられ、政治活動を開始。その後も要職を歴任する傍ら、戯曲『タウリス島のイフィゲーニエ』(1787)などを執筆。さらに1794年以降のシラーとの親交を経て、調和と普遍的人間性に基づくドイツ古典主義文学を確立した。 晩年は《世界文学》《世界市民》などの語に象徴される、越境的な視点をより重視し、『親和力』(1809)、『西東詩集』(1819)など円熟した作品を発表。20代から書き続けた、ゲーテ文学の集大成ともいえる戯曲『ファウスト』(「第一部」1808、「第二部」1832)を死の直前に完成させ、1832年、ワイマールに没する。 ・ 著作のみならず彼自身の人生にも貫かれる、既存の枠組みや価値観に縛られない自由闊達さ、調和を重んずる平和的人間主義の精神は、後世の芸術・思想に多大な影響を与え、国や時代を超えて今なお世界中で愛され続けている。
1,210円(本体1,100円、税110円)
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