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a+a美学研究|第12号
大阪大学大学院文学研究科 美学研究室 編集
A5判/148×210mm/160頁
並製/無線綴じ/箔押し/表紙マットPP/2018年
AD+D+DTP:松本久木 ED:田中均・高安啓介
特集:シアトロクラシー 観客の美学と政治学 「観客の支配」を意味する「シアトロクラシー」(テアトロクラティア)という言葉は、もともと古代ギリシアの歌舞において、古くから伝承された決まりが守られるべきか、それとも観客大衆の楽しみを優先して新たな実験がなされるべきかという争いのなかで生まれた。哲学者プラトンは、歌舞における伝統の否定としての「シアトロクラシー」から、政治における権威の否定としての「デモクラシー」が生まれたと論じている。つまり「シアトロクラシー」とは「観客」という集合的存在を通じて芸術と政治とを架橋する概念であり、近代において、ルソー、ニーチェ、ベンヤミンらのテクストのなかで潜在的・顕在的に重要な役割を果たし、現代の哲学者たちによってあらためて注目されている。はたして「観客」であるということは、幻影に惑わされ無力化されることを意味するのか、それとも「観客」であることのうちには自由へのポテンシャルが含まれるのか、ということがこの言葉によって問われている。 _ [内容] 序論 田中 均 (大阪大学准教授(COデザインセンター/大学院文学研究科)、専門領域はドイツ語圏を中心とする近代美学、芸術における「参加」をめぐる諸問題) 演劇の批判と弁護 クリストフ・メンケ (フランクフルト大学教授(実践哲学)) 翻訳=田中 均 ルソーとシアトロクラシー ──『ダランベール氏への手紙』における「見せもの」の近代性 田中 均 モーリッツ「演劇への不幸な傾倒」における演劇狂と健全な市民 ──教育的言説の批判的考察 梶原将志 (松山大学経済学部非常勤講師、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)、専門は一八〇〇年前後のドイツにおける悲劇・悲劇論) 「大衆をほぐす」 ──シアトロクラシーと映画(館) 海老根 剛 (大阪市立大学文学研究科准教授、博士(文学)、専門領域は二十世紀ドイツ文化研究と映画を中心とする表象文化論) 音楽゠劇の批判的構成のために ──ベンヤミンとアドルノの美学を手がかりに 柿木伸之 (広島市立大学国際学部准教授、上智大学大学院哲学研究科博士後期課程満期退学、博士(哲学)、専門領域は二十世紀ドイツ語圏の哲学と美学) 今日のアートにおける批判とは何か ──参加型アートを中心に 石田圭子 (神戸大学大学院国際文化学研究科准教授、東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了、博士(美術)、専門領域は美学・芸術論) 演劇とアール・ブリュット ──ヴァレール・ノヴァリナの俳優論を中心に 井上由里子 (静岡文化芸術大学講師、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)、演劇学・フランス演劇研究) 「花の下」連歌における〈観客〉の発生と融解 土田耕督 (大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻芸術学講座(美学)助教、大阪大学大学院 文学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(文学)、専門領域は、和歌(論)・連歌(論)の研究を中心に据えた日本芸術学) 特別寄稿 ボエティウス『音楽教程』における音楽観 ──音楽の三分類と音楽家の規定をめぐって 田之頭一知 (大阪芸術大学芸術学部教授、専門は美学・音楽哲学および哲学的時間論) [エッセイ] 音楽の欠片1 開演前 河口 篤 (大阪大学大学院文学研究科博士課程在学、修士(人間科学)、専門は音楽を中心にした美学研究) 美学は言葉を考える 高安啓介 (大阪大学大学院文学研究科准教授、大阪大学大学院文学研究科博士課程修了、博士(文学)、専門はデザイン思想史) エッセイを書く面白さ 山下泰春 (同人サークル〈アレ★Club〉代表、専門は戦後ドイツ思想およびメディア論) 音楽の欠片2 勝手な聴き手 河口 篤 >>a+a美学研究|第11号 >>a+a美学研究|第10号
1,650円(本体1,500円、税150円)
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